沖縄県金武町の国立病院機構琉球病院がこのほど、新型コロナ患者の受け入れのため一時的に休止していたアルコール依存症の専門病棟を再開させた。専門医の真栄里仁副院長は「特別な人がなる特別な病気ではない。早期の治療で回復しやすいので、気軽に相談してほしい」と呼びかける。
依存症について真栄里医師は「一般的にだらしない人がなるイメージがあるが遺伝的要素が大きく、本人だけの責任ではない」と説明。国内の患者は約25万人で、依存症の疑いがある人を含めると約300万人。しかし、実際に治療を受けているのは5万人程度だという。
「飲酒する姿を見られたくない気持ちから、患者は自宅などに引きこもりがち。家族も世間の目を気にして隠そうとするので、社会から見えにくいのが特徴だ。病院に来る頃には心身ともにぼろぼろになっている場合も多い」と説明する。
沖縄は飲酒に寛容な側面がある一方、依存症と認めたくない人が多いと指摘。「うつ病が『心の風邪』といわれるのと同じように、依存症も生活習慣病の一つで恥ずかしいものではない。早めの受診が何より大切だ」と強調した。
同院は、難治性の統合失調症治療に「クロザピン」と呼ばれる専門薬を使う取り組みにも力を入れている。(社会部・下里潤)