沖縄セルラー電話の菅隆志社長は28日、デジタルトランスフォーメーション(DX)人材を育成する県民向けの無料のプログラム「Okinawa DX University(ODU)」の創設を発表した。同社や琉球銀行、沖縄電力など7社でつくる「沖縄未来創造協議会」が資金面などで協力。企業や地方自治体の100人を対象にし、県経済全体の生産性を底上げする狙いがある。(政経部・銘苅一哲)
講座は今年10月から来年2月まで全10回。専用サイトで自ら学ぶeラーニングと対面での講座やワークショップを組み合わせ、DXの基礎から活用方法を学ぶ。1企業2人まで専用サイトから申し込める。100人以上の参加希望があれば抽選となる。
協議会は新産業の創出や大型のインフラ整備などで地元に資金が還流する仕組み作りを目的に今年3月に発足。具体的な取り組みの第1弾として各業界で課題となっている人手不足を解消する策の一つとしてビジネスの効率化や生産性を向上させるDX化に目を付けた。
28日に那覇市内で会見した菅社長は沖縄の労働生産性が全国最下位で、地方自治体のクラウドサービスの利用状況は全国44位、ネット販売額は全国平均の10分の1というデータを提示。デジタルを活用した業務改善などのIT化だけでなく、ビッグデータなどの技術を生かした新たなビジネスモデルを目指すDX化が重要とした。
「中小企業からはどこから手を付けていいか分からないという声も聞こえる」と話し、行政に先んじて民間で構成する協議会が人材育成にスピード感を持って取り組む意義も強調した。
会見には協議会の代表理事2氏も同席。琉球銀行の川上康頭取は「100人の育成ですぐに問題は解決しないが企業の生産性を上げることは重要な取り組み」と話し、沖縄電力の本永浩之社長は「企業だけでなく公共の分野でも県経済を引っ張るリーダーが育ってほしい」と期待した。
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