障がい者アートの可能性を探るシンポジウム(主催・ドアレスアートオキナワ)が17日、那覇市内で開かれた。県内の障がい者アーティストを支える美術教師やホテル関係者のほか、俳優の東ちづるさんが登壇。障がい者の個性に合わせた教材探しの重要性や作品の活用方法、アーティストへの利益還元につなげる手法などについて意見を交わした。(学芸部・知念豊)

 シンポに登壇した県立大平特別支援学校の美術教師の与儀俊介さんは「生徒たちが好きなように表現できる教材を見つけることが重要」と強調。「生徒たちの作品に価値があるという意識を社会全体で育てる必要がある。その先の経済活動にどうつなげるか、学校教育の現場から可能性を見つけたい」と話した。

 那覇市前島にある「ホテルアンテルーム那覇」では、障がい者のアート作品を施設の一室に展示している。同ホテルのキュレーション(展示企画)担当の崎原未帆さんは「アートという分野はまだまだ発信が必要。県民がアートに親しんでもらえるよう、工夫したい」と話した。

 横浜のおみやげショップ「haishop」では、社会課題をテーマにしたアーティストの作品の展示販売の場所として、ギャラリースペースを提供している。同社のブランドマネージャーを務める和田奈央さんは「作品を預かったらどのような価値を付けて販売し、どのように利益をアーティストに戻せるか考えたい」と語った。

 エンターテインメントを通じて「まぜこぜの社会(多様な社会)」の実現に取り組む東さんは「全国各地でこういった取り組みが進んでいる。それぞれが浅く、広く、緩くつながることでいい状況になる」とそれぞれの活動を評価。障がい者アーティストの自立を支援するドアレスアートオキナワの呉屋マリヤ代表理事は「今後も活動について発信を強化し、その歩みをステップアップしていきたい」と今後を見据えた。