沖縄県糸満市は10月から、がん治療に伴う外見変化に悩む市民を支援するため、ウィッグや補整具の購入費を助成する「がん患者アピアランス(外見)ケア支援事業」を始める。同月の「乳がん月間」に合わせた取り組みで、県内市町村では初めて。2万円を上限に購入費の半額を助成する。同市の担当者は「今回の申請は来年3月までだが、支援は来年度以降も続ける予定」としている。
糸満市議会(金城寛議長)は12日、事業費47万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を全会一致で可決した。同市は市内の乳がん患者数などを基に支援者数を推定するが、「小児がん患者などもおり、実際どれくらいの人が支援を必要としているか不明」としている。
支援対象は市内に在住し、過去にがん治療を受けた人や現在治療中の人。性別や年齢は問わない。手術の同意書や治療計画書など、治療を証明できる書類の持参が条件。ことし4月以降に購入した補整具が申請の対象だ。
国内では医療の進歩により、がん治療を受けながら生活する患者が増加している。脱毛や乳房の切除といった外見の変化を不安視し、他者との関わりを避けるようになるなど、患者がそれまでの生活を送れなくなるなどの問題が生じている。
アピアランスケアは、医療機関での相談やウィッグなどの補整具の利用を通し、がん患者の苦痛軽減を目指す。
同市は25日をめどに、ホームページで事業の詳細や申請方法を公表する。問い合わせは同市健康推進課、電話098(840)8126。