【広島市で比嘉桃乃】原爆による被爆体験や、戦争体験を次世代にどう継承するかの方策を探る国際シンポジウム「原爆体験・戦争記憶の継承~託す平和遺産」(主催・広島大学平和科学研究センター)が2日、広島市の広島大学東千田キャンパスで開かれた。英シェフィールド大学のグレン・フック名誉教授が「沖縄の記憶と軍事基地の終わらない戦争」をテーマに講演。沖縄で過重な基地負担が今も続いていることなどを挙げ、「安全保障は日本全体で負担するべきだ」と強調した。

沖縄戦の記憶の継承について講演するグレン・フック名誉教授=2日、広島市の広島大学東千田キャンパス

 フック名誉教授は2007年、米軍基地の現状を把握するため、沖縄での調査を実施。地元住民にインタビューした際、「土地が戻ってこない限り、戦争はまだ続いている」と聞いたことが印象に残っているという。沖縄戦の記憶が現在の基地問題に密接に関わっており、地元住民にとって基地の存在は「日常生活を脅かされる大きなリスクだ」と述べた。

 また、6月23日の「慰霊の日」に開かれる沖縄全戦没者追悼式で、首相を前にして県知事が基地の負担軽減を訴えることなどを紹介。「普天間飛行場の移設について意見を主張する場になっている」と語った。

 シンポジウムに参加した広島市立大学の直野章子教授は「広島では『核兵器廃絶』がよく訴えられているが、安全保障については議論されていない」と指摘。広島平和記念資料館で被爆者の体験を伝える男性(44)は「沖縄で米軍の事件事故が多発している。米軍基地がなぜ沖縄に多くあるのか、歴史をたどらないといけない」と語った。

 そのほか、広島平和記念資料館の館長を務める志賀賢治さんなど国内外の有識者4人が登壇した。