社説

社説[安倍改造内閣]負担軽減に背く新基地

2017年8月4日 09:15

 安倍晋三首相が3日、内閣改造を実施した。

 名護市辺野古での新基地建設を巡って、国が知事の許可を受けずに岩礁破砕などを行うことに対し、県が差し止めを求め提訴するなど、対立が深まる中での改造となった。

 防衛相には、辺野古の埋め立て承認時に大臣だった小野寺五典氏が再登板した。外相には日米地位協定の改正に向け取り組んだ経験もある河野太郎氏が、沖縄担当相には、これまで沖縄との関係が薄い江崎鉄磨氏が起用された。

 7月末の大田昌秀元知事の県民葬で、安倍首相は「元知事が心を砕かれていた沖縄の基地負担の軽減に、政府として、引き続き全力を尽くす」と述べた。

 しかし、政権が繰り返し語る「負担軽減」はレトリックにすぎない。普天間飛行場返還のため、米軍にとって最も望ましい新基地を造るというものだからだ。新基地はキャンプ・シュワブやハンセン、北部訓練場、伊江島補助飛行場と一体的に運用される。軍港機能も新たに付加され、本島北部地域は米軍の一大軍事拠点に変貌することになる。

 政府がいう「負担軽減」は、県民の支持を得られておらず、大田氏が切望した「基地のない平和な沖縄」とも相いれない。

 保守県政時代に副知事を務め、大田氏の友人だった比嘉幹郎氏は県民葬で、「遺志を尊重し、県民に対するいかなる差別と犠牲の強要政策にも反対する」と語った。多くの県民が共感する意思表示を政府は真剣に受け止めるべきだ。工事を中断した上で、沖縄側との徹底した協議を求める。

 ■    ■

 安倍首相は会見で、森友学園へ格安で国有地を払い下げた問題や加計(かけ)学園の獣医学部新設計画を巡る問題、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題を挙げた。その上で「国民の不信を招く結果になった」と、反省とおわびを述べ、新内閣で信頼回復に努めることを強調した。

 顔ぶれは、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官ら政権を支える骨格は維持しながら、「人心一新」をアピールした。だが、ふたを開けてみれば、閣僚経験者7人を再起用し、留任も5人と安定を重視した布陣となった。

 加計学園などの問題に加え、閣僚としての資質のなさや、経験不足が露呈し、内閣の支持率低下につながったとみているからだ。

 閣僚の入れ替えで支持率回復を目指すが、失った国民の信頼を取り戻すのは容易ではないだろう。

 ■    ■

 森友・加計学園問題などで国民の強い反発を招いたのは、政権に批判的な声に対して敵対的な首相自身の姿勢に加え、政権が自分たちに都合の悪いことを、ないことにしようとする傾向も見えたからだ。長い間支持率が高かった「1強」状態が招いたおごりである。

 関係閣僚を替えたからといって、これらの問題、疑惑にふたをして終わりとはならない。首相の「反省」が本物であるなら、真相解明に率先して取り組むべきだ。国民へ誠実さを示し、国政にあたることが求められる。

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