沖縄県の玉城デニー知事は3日午前の県議会9月定例会本会議の冒頭で、県土木建築部が2022年度の特別会計で約119万円の赤字を出した問題について、本年度の歳入から繰り上げて補填(ほてん)する「繰上充用」を2日付で専決処分したと報告した。繰上充用できる法律上の期限は今年5月末で、期限を過ぎた違法前提での異例の対応となった。
県は繰上充用を盛り込んだ特別会計の補正予算案を9月26日開会の県議会に提出。県議会は違法となっている議案を審議すべきではないとの認識で、与党会派が議決しないことを求める動議を出し、全会一致で可決した。議案は県執行部に差し戻されていた。
赤字となっている事業の内訳は、宜野湾港整備事業の54万4千円と、中城湾港新港地区整備事業の64万5千円。県の出納事務局の指摘でミスに気付いた。
県議会の赤嶺昇議長は9月19日、各会派の代表者から意見を聴取し、文書にまとめて玉城知事に送付。「違法な執行を前提とした議案を審議することは、結果として議会が執行部の行為を追認するとの誤解を招く。県議会に求められる役割とは全く相容れない」と伝えていた。