【東京】陸上自衛隊宮古島駐屯地で地対空ミサイルを扱う第7高射特科群の男性群長=1等陸佐=が9月下旬、宮古島市の保良訓練場内に無登録の私物ドローン(無人航空機)1機を持ち込んで飛行させ、紛失していたことが3日、陸自への取材で分かった。陸自の警務隊は航空法違反の疑いもあるとみて、関係者から事情を聴くなど詳しい経緯を調べている。

 防衛省陸上幕僚監部(陸幕)によると、紛失したのは9月22日午前。陸自ドローンの操縦訓練の際、男性群長が私物ドローンを部下に操縦させていたところ、何らかの原因で訓練場北側の場外へ出て、行方が分からなくなった。

 その後数日間、周辺などを捜索したが見つかっていない。被害の報告もないという。
 陸幕によると、ドローンは横幅約50センチ、重さ約580グラム。国土交通省はドローンなどの安全対策のため、昨年6月から、バッテリーを含め重さ100グラム以上の機体を対象に所有者の登録を義務付けているが、男性群長は登録していなかった。

 私物を持ち込んで使った理由について、群長は「翌日からの訓練でドローンを使用するため、事前に私物で練習した」と説明している。

 ドローン禁止法(小型無人機等飛行禁止法)で、保良訓練場は原則飛行禁止の対象施設に指定されているが、男性群長は宮古島駐屯地司令の同意を得るなど事前の手続きを済ませていたという。

 一方、航空事故につながりかねない重大インシデントに該当する可能性もあるとみて、陸自側は今月1日、国交省に紛失事案を報告。発生から報告まで期間が空いたことについて、陸幕は「重大インシデントに該当するか調査・検討していたため」としている。

 また、事案を公表しなかった理由に関しては「直後に市や宮古島警察署、周辺自治会などには連絡した」とした上で「自衛隊施設外での被害が確認されていないことなどから、部外への影響はないと判断した」と説明している。