1935沖縄 よみがえる古里

【風葬】好奇のまなざし「事件」ひきおこす かつての墓所、覆う緑

2017年8月4日 19:50

 岩陰にある、屋根のような形のものが付いた木の箱は、ひつぎだ。故人を納めて12年に1度、とら年に開けて骨を洗い清める。その後、改めて厨子甕(ずしがめ)に納める。この1枚は、1935年の久高島の風葬の場を写している。

久高島の崖の陰で、故人を納めた木棺を置き、12年に1度、とら年の旧暦10月20日に一斉に開け、遺族が洗骨した。ひつぎの上のわらじなどについて、祭祀に詳しい地元の福治洋子さん(77)は「亡くなった後の世界(後生、グソー)に無事に着きますように、また、旧盆などの折に家に帰ってこれるようにという意味」と語る。骨は、写真中央に見える陶器や石でできた「厨子甕(ずしがめ)」に納めた。久高島区長の西銘正博さん(65)は「銅線で巻いて岩などに結びつけ、動かないようにしていた」と話す。内間新三さん(89)は「それでも、台風などで動いたり、ふたが開いてしまったりすることはあっただろう」とみる(写真は朝日新聞社提供)

久高島で、もともと風葬地があった場所を見下ろす地点。1960年代後半にコンクリートでふさいだというが、今は木々が視線を遮っている=7月10日、南城市知念久高

久高島の崖の陰で、故人を納めた木棺を置き、12年に1度、とら年の旧暦10月20日に一斉に開け、遺族が洗骨した。ひつぎの上のわらじなどについて、祭祀に詳しい地元の福治洋子さん(77)は「亡くなった後の世界(後生、グソー)に無事に着きますように、また、旧盆などの折に家に帰ってこれるようにという意味」と語る。骨は、写真中央に見える陶器や石でできた「厨子甕(ずしがめ)」に納めた。久高島区長の西銘正博さん(65)は「銅線で巻いて岩などに結びつけ、動かないようにしていた」と話す。内間新三さん(89)は「それでも、台風などで動いたり、ふたが開いてしまったりすることはあっただろう」とみる(写真は朝日新聞社提供) 久高島で、もともと風葬地があった場所を見下ろす地点。1960年代後半にコンクリートでふさいだというが、今は木々が視線を遮っている=7月10日、南城市知念久高

 沖縄研究者の田村浩(1886〜1945)は『琉球共産村落之研究』(27年)で久高島に触れた。再販本(69年)には「久高島ノ風葬共同墓地 後生」が「西方海岸ノ岸壁ニアリ 木棺ハ近代式家型…」と記され、木棺そばの岩に本人らが腰掛けた写真が載る。

 田村の写真に、島に詳しい琉球大教授の赤嶺政信さん(63)=民俗学=は「まるで記念撮影だが、そういった場所ではなかった。気軽に立ち入ることはあり得なかった」と話す。

 風葬は、かつて本島、離島の各地でみられた。琉球国造り神話の島として、戦前から久高島は民俗学者たちの注目を浴びてきた。赤嶺さんは「その中で風葬にも目が向いた」とみる。

 好奇のまなざしが、67年1月の「事件」につながっていく。66年12月、島の祭事、イザイホーに約400人の調査、取材、観光客が押し寄せた翌月だ。

 「けしからん」。久高島区長の西銘正博さん(65)=南城市知念久高=は中学生だった時、学校に駆け付けた区長らの怒気に満ちた声を覚えている。持ってきた雑誌には、風葬地でひつぎのふたを開けて撮影したカットが載っていた。「ふたを閉じようと、大人と一緒に、開けられたひつぎを探した。寒い日だった」

 その後、全ての遺骨を別の所に移し、風葬地はコンクリートでふさがれた。50年近く過ぎた今、生い茂る木々が視線を遮っている。(「1935沖縄」取材班・堀川幸太郎)

 

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