沖縄市のちゅうざん病院(田島文博院長)のリハビリテーション療法部は、脳梗塞やくも膜下出血などで「高次脳機能障がい」のある人の自動車運転の復帰を目指す最新のホンダ製「ドライビングシミュレーター」を導入している。同院によると、県内の医療機関で同シミュレーターの導入は初めて。同院は「車社会の沖縄では、通勤や日常生活の中で運転を望む人も多い。復帰を目指す人たちをサポートしたい」と話している。(根間広人通信員)

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 同院が導入した最新のドライビングシミュレーターは、これまでの画面とハンドルだけの機器ではなく、実車同様の部品を数多く採用したことで運転操作に必要な手足の複合的動作を実際のクルマを運転しているような感覚で体験することができる最新機。

 高次脳機能障がいの後遺症を抱える人が運転を再開して社会復帰を目指すことを目的に、9月中旬から導入した。オートマチック車用のシフトレバーや、片まひの障がいがある人が片手でハンドルを握り、操作できるハンドル旋回のノブが装備された3画面構成となっている。悪天候や歩行者の急な飛び出しなど、走行中のあらゆる「ヒヤリハット」を想定した危険予測体験ができる。

 体験後は、自身の走行データが機械で細かく分析され、客観的なアドバイスや振り返りも可能だ。

 同療法部の運転支援は自動車教習所と連携して6、7年前から実施しており、昨年は同院で45人が運転復帰を果たした。

 認定作業療法士でリハビリテーション療法部係長の座覇政成さんは「脳卒中などのリハビリで同院に通う人の多くが、運転復帰を希望している。院内に機器があることで、専門職の下で適切なリハビリの時期や判断が行える」と話す。

 田島院長は「車は一歩間違えると走る凶器になる。いきなり実車を使っての運転は危険を伴うが、運転シミュレーターで段階的にサポートすることで、地域医療の一助になれば」と期待を込めた。

 問い合わせは同療法部、電話098(982)1346。