沖縄に来て、はや4カ月。「何で沖縄に日銀があるの?」とか「ここで日銀は何しているの?」と質問を受けることがある。この前も、昼過ぎにふらっと入った小さな沖縄そばの店で、店主から話しかけられた。「どこから来たの?」とか「どんな仕事しているの?」と。そして、一つ一つ答えているうちに冒頭の質問となった。これに、ズバッと答えるのは難しい。

 沖縄での日銀の業務の一つは、沖縄の経済情勢を分析し景気判断を行うことだ。現状の景気判断はホームページにも掲載しているが、新聞社やテレビ局が取材してくださるので、そこで目にされる方も多いかもしれない。

 では、どのようにして景気判断を行っているかというと、公表されている統計データと、経済界の方などへのヒアリング情報を組み合わせながら行うことが一般的だ。

 経済分析のためには統計データがまず重要で、データがあるから客観的な分析ができる。でも、統計データによる「マクロ調査」だけだと、数値そのものは無味乾燥なだけに、数値の背景にある経済メカニズムが十分に分からないことがある。このため、ヒアリングによる「ミクロ調査」を活用してその背景を掘り下げ、手触り感を持って景気判断ができるよう努めている。

 また、ミクロ調査による情報は、統計データよりも早く手に入る点もメリットだ。毎月公表される統計の場合、集計作業などのため、公表タイミングはその翌月か翌々月になってから。統計よりも前に、ミクロ調査により景気の変化をいち早く察知することができれば、景気判断をする立場からは大変助かる。

 ヒアリングにご協力を頂いている皆さま、紙面を借りて恐縮ですが、いつもありがとうございます!

 ところで、冒頭の沖縄そばの店主。もうお客さんが来ないとみたのか、閉店の1時間も前なのに、早々と店ののぼりを片付け、缶ビールを2本取り出してきた。「今日は店、閉めましょうね」と。あっさりとしたそば、とてもおいしかったです。ビールもごちそうさまでした。(日本銀行那覇支店長)

次回は銘苅康弘氏(県中小企業診断士協会会長)です。