知名オーディオのパイプ型スピーカーと開発した知名宏師さん
知名オーディオのパイプ型スピーカーと開発した知名宏師さん

 全国からオーディオの注文が相次ぐ「知名御多出横(チナオーディオ)」。幼い頃からラジオ作りに没頭していた創業者の知名宏師さん(76)は、数々の技術を開発し、ファンを増やしていく。そして、ついに念願の「シンプルなスピーカー」にたどり着くが、技術の確立は簡単ではなかった。常識を覆す「最高傑作」はどのようにして生まれたのか。(東京報道部・照屋剛志)

 「スピーカーは一つにまとめられる」というのが宏師さんの持論だった。

 一般的にスピーカーは、波長に合わせてサイズを変えると音質が良くなるため、オーディオファンは高音、中音、低音の3種類のスピーカーをそろえる。さらに扇形に広がる音の特性も踏まえ、3種類のスピーカーの配置と向きを考えて音を再現する。こだわるほどに、スピーカーは複雑になり、大きくなっていく。

 「もっとシンプルにできるはずだ」

 だが、壁一面をスピーカーにする特大サイズや、ピラミッド型など、何度も試行錯誤を繰り返すが、うまくいかない。...