沖縄県内で発症が多いとされ、筋力の低下などを起こす重い病気「近位筋優位運動感覚ニューロパチー(HMSN-P)」の研究内容を紹介する市民講座が5日、那覇市内であった。福岡県の聖マリア病院や京都大の研究チームによる治療薬開発に向けた報告があり、参加した患者から「希望の光。早期の実現を望む」と期待の声が上がった。

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 HMSN-Pは運動神経や感覚神経の障害を起こす病気の一つ。一般的に30~40代で発症し、病気が進行すると歩行が困難になったり、呼吸不全で人工呼吸器が必要になったりする。

 研究チームの聖マリア病院の谷口雅彦院長は病気の原因となる変異遺伝子が特定された一方、どのような薬が有効かなど治療法が確立されていないことを説明。患者は全国で約150人、県内は約80人いると推計されているが対象者が少ないため、研究する上で情報が不足していると述べた。

 国の医療研究を支援する日本医療研究開発機構(AMED)の助成対象に採択されたことで、新薬など治療法の開発に着手できたことを強調。「より多くの患者に協力してもらうことでエビデンスが構築できる」と述べ、患者登録を呼びかけた。

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った治療法の開発を進めている京都大の井上治久教授や、宜野湾市の国立病院機構沖縄病院の諏訪園秀吾医師の講演もあった。

 参加した患者からは「病気のメカニズム解明に期待している。病気を後世に残さないことが願い」「病状は日々進行しており、不安で眠れない日もある。一日も早く完治する薬を開発してほしい」などの声が上がった。(社会部・下里潤)