実は、県が勝っているのかもしれない。名護市辺野古の新基地建設作業をめぐって政府との間で始まった攻防のことである
▼翁長雄志知事は作業をストップさせようとしたが一昨日、林芳正農水相に入り口で「駄目」とばかりに止められた。法律論のややこしい袋小路に入り目的は達せられなかったものの、基地問題の大きな課題の一つ在京メディアの注目は集めた
▼先日はNHKの番組でも、出演した森本敏元防衛相や岡本行夫元首相補佐官が、あらためて在沖海兵隊の抑止力について「沖縄に駐留する軍事的な合理性はない」と否定。辺野古を推進してきた両氏が言及した「そもそも論」を放送した
▼翁長知事が何度か上京しても安倍晋三首相や菅義偉官房長官が会わなかったころから、県外でも政権の沖縄対応に批判的な声が出始めた。現に政府関係者は「国はやり過ぎだとの批判が噴出するのではないか」と国民世論を警戒し始めている
▼県民は冷静だ。今後の対応について、裁判よりも「反対姿勢を主張し続ける。県内外に訴える」や「政府との対話」が重要と考える人が多いようだ
▼辺野古問題では日本政府に裏切られ、制度を変えられ、無視され、それでも息長く主張してきた胆力がある。きょうはエープリルフールだから「政府に勝っているかも」と言っているのではない。(与那嶺一枝)