縁あって著者の吉原真里氏がアジア人女性初の編集委員長を務める米国の学術誌の編集委員をさせてもらった時期がある。第2言語の英語を自在に操り、高度な学術的議論に圧倒的リーダーシップを発揮する日本人を間近で見たのは初めてだった。

 レナード・バーンスタインと戦後日本の親密な関係を明らかにした研究書『親愛なるレニー』を、日本では日本語で、米国では英語で出版し、しかも日本語版では河合隼雄物語賞や日本エッセイスト・クラブ賞まで受賞したこの奇跡のバイリンガル吉原真里はいかにして吉原真里になったのか。そんな疑問に答える待望の「半自伝的バイリンガル私小説」が本書である。...