ベトナム戦争終盤の1972年、当時の飛鳥田一雄横浜市長はベトナム行きの米軍戦車の市道通行を道路運送法上の権限でストップさせた
▼2日で飛鳥田氏の生誕100年。地元紙「神奈川新聞」は2、3日付紙面で「飛鳥田一雄生誕100年」の企画を掲載、業績や地方自治に与えた影響を取り上げた。その中で「今、普天間飛行場の辺野古への移設で対立が深まる沖縄県と国のありようは、国や米軍と対峙(たいじ)した横浜市の戦車闘争と重なって見える」と報じている
▼飛鳥田氏は「安保反対」と叫ぶのではなく、「国内法を守れ」と徹底して主張した。翁長雄志知事は名護市辺野古で沖縄防衛局の作業に許可外の岩礁破砕が疑われ、漁業調整規則違反の懸念が払拭(ふっしょく)できないと停止指示を出した。法にのっとったものだ
▼名護市長選や知事選、衆院選で示された新基地建設反対の民意を尊重すべきだという主張は民主主義の根幹にかかわる
▼神奈川新聞の企画で、飛鳥田氏のブレーンの鳴海正泰さん(83)=関東学院大名誉教授=は「自治体は国の下請けでもなければ、末端機関でもない」と指摘する
▼基地問題は、国は法を変えてもねじ曲げてでも自治体を従わせるという構図がある。全国で統一地方選が行われている。地方自治そのものを侵害する問題にすべての首長や議員は傍観できない。(与那原良彦)