沖縄の米軍基地問題に関する正確な情報を全国に広げようと、県が情報発信を強化している。4月に作成した基地問題の解説冊子は県外からの注文が予想を上回り、急きょ1万部を増刷。6月には県ホームページ(HP)で名護市辺野古の新基地建設問題に関する最新情報の掲載を始めた。県は、「地道に沖縄の真実を全国に伝えていきたい」としている。(政経部・大野亨恭)

県が作成した基地問題の誤解を解説する冊子

 解説冊子は「沖縄は基地経済に依存している」など、県内外で広がる誤解を払拭(ふっしょく)することを目的に作成。沖縄の米軍基地の歴史や日米地位協定の課題、辺野古問題などを写真やデータ表を使って解説している。

 当初は2016年度予算で4万部を作成。県内市町村のほか、全都道府県、全市町村、全国の公立図書館、衆参の全国会議員などへ計3万1千部を送付した。

 送付後、一般市民や基地問題に関心のある市民団体から「分かりやすい」との声とともに注文が相次ぎ、残りの9千部が底を突いたため、1万部を追加で増刷した。

 その後も要望や問い合わせが多く、県外の中学、高校からは社会科の授業で使いたいと、学年全員分の注文も入ったという。増刷分も残り3千部となっており、さらなる追加印刷を検討中だ。

 県が情報発信に力を入れるのは、基地問題に関する誤解の解消だけではない。辺野古で新基地建設を進める政府は、菅義偉官房長官や関係閣僚が会見のたびに、昨年3月の裁判の和解や最高裁の確定判決を持ち出して「県は約束に従うべきだ」と発信を続けているからだ。

 昨年末の最高裁判決は、今回、県が国の工事差し止めを求めた訴訟とは一切関係なく、和解も前提の状況が崩れたため、適用外だ。「圧倒的な情報量の差」(翁長雄志知事)がある政府の誤った発信は、県にとり“情報操作”そのもので、強い危機感を抱いている。

 HPでは差し止め訴訟に踏み切った理由や知事会見の内容、訴状などを掲載して県の立場を説明している。県の担当者は「知事が会見をしても県外のメディアではなかなか取り上げられない」と実情に触れた上で、「地道だが、全国に広がる誤解を着実に解いていきたい」と話した。