創薬・再生医療支援を行う沖縄工業高等専門学校(名護市)発のベンチャー企業「シルクルネッサンス」(仮称)が年内に立ち上がる。同校副校長の伊東昌章教授が、カイコ由来の抽出液を用い、タンパク質を迅速につくる技術と再生医療研究に有用な「高分子セリシン」の製造技術を確立。10年以内にインフルエンザワクチンなどを製造する県内初の創薬企業への移行を目指す。実現すれば、県が目指す創薬産業の拠点化に向け期待が高まりそうだ。(政経部・下里潤)

実験用のカイコを前に県内初の創薬企業への思いを語る沖縄工業高等専門学校の伊東昌章教授=名護市の同校

 伊東教授が開発した技術は、がんやアルツハイマー病などの創薬研究に必要なタンパク質を数日間で合成できるもの。約1カ月間必要だった従来技術に比べ、大量追加注文など顧客の要望に柔軟に対応できる。在庫も必要なくなるため、コストダウンも図れる。

 iPS細胞などの培養に用いられるタンパク質「高分子セリシン」を抽出・精製する技術も開発。従来方法と比べ、約1・7倍の高い細胞増殖促進効果があるという。研究機関にとって、再生医療研究の準備段階となる細胞の調製が圧倒的に早くなり、労力と時間の軽減が期待できる。

 伊東教授によると、再生医療に関する市場は世界で急速に拡大しており、高い成長性や将来性が見込めるという。ベンチャー企業を設立した上で、10年以内に創薬企業へ移行、インフルエンザワクチンなどタンパク質性医療品の製造を目指す。国内市場の10%となる年42億円を売り上げ、30年後には世界市場の5%となる1兆円の売り上げを計画する。

 伊東教授は「創薬・再生医療研究を活発化させることで、県内の創薬拠点化形成に貢献できる。ベンチャー起業後には県内研究機関と連携を深め、新商品開発などを図っていきたい」と意欲。「商品の普及で大量のカイコが必要となり、新たな養蚕業という1次産業創出にも結びつく」と話した。