挿画:伊藤健介
挿画:伊藤健介

 父は、この古臭ふるくさいデザインのダサカワ会社Tシャツを、死ぬまでに使い切れるか不安になるくらいたくさん持っているらしい。舞花まいかが小学生の頃くらいまでは、近所を歩くときもこのTシャツをよく着ていたのだけれど、そのせいでお隣さんに避けられているようだと判明してからは、家の中でだけ着用するようになった。真夏でも服を一切洗濯していないと勘違いされたのだ。「ちゃんと三枚を着回してたのになぁ」としょげ込む父と、「うちの素敵すてき和則かずのりさんがそんな不潔なわけないじゃない!」とお隣さんの家に面した壁に向かって憤っていた母の姿を、なぜか今でもよく覚えている。

 肉野菜炒めを口に...