依存症への理解を広めようと、第23回アディクションフォーラム(主催・県立総合精神保健福祉センター)が3日、沖縄県浦添市のアイム・ユニバースてだこ大ホールで開かれた。三光病院(香川県)院長の海野順さんが「依存症は新国民病?」と題して講演。依存症と小児期の逆境体験との因果関係を指摘し「自分が悪いと思わず、環境のせいにしてほしい。回復のスタートはそこからだ」と訴えた。近年はネット・ゲーム依存症も社会問題化し、約1千万人が何らかの依存症である疑いがあると説明した。

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 海野さんは、小児期に逆境体験を経験していると、成人後のアルコールや薬物依存症の発症リスクを増大させるというデータを紹介。依存症者を親に持つなど「機能不全家庭」で子ども時代を過ごした人は「アダルト・チルドレン(AC)」と表現されてきた。一方で、病気として扱われなかったことで対処が遅れ「依存症につながったケースが多くあるのではないか」と推察した。

 依存症になる理由について「快楽を求めるためではなく、苦痛を自己治療するための選択」と説明した。宮城県の1人当たりの飲酒量は東日本大震災前は全国平均より低かったが、震災以降の年から全国平均を上回っているデータを例に挙げ「しんどい時の癒やしが依存を形成していく」と語った。

 香川県は全国初となる「ネット・ゲーム依存症対策条例」を2020年4月に施行している。やっているゲームが同じであったとしても、つらい現実から逃れるためだったり、褒められる・頼られるなどの承認欲求を満たすためだったりと「依存しているそれぞれで理由が違う」と対応の難しさを語った。

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 ネット依存症への対策として「香川県ネット・ゲーム依存回復プログラム」(i Swing)に取り組んでいる。キャンプなどゲームから離れた生活での交流やイベントでやりがい、生きがいを感じ、生活リズムの改善など効果が見られることを報告した。

 その他、大麻やオーバードーズ(OD)などが交流サイト(SNS)の発達とともに若者で広まる現状にも危機感を示した。トラウマ(心的外傷)に対し、特別な臨床技術を持たなくてもできるケアの枠組みである「トラウマインフォームドケア」についても紹介した。

 フォーラムでは、アルコールや薬物、ギャンブルの依存症から回復を目指す当事者や、その家族の発表もあった。

(学芸部・勝浦大輔)