身体障がい者や病気療養で運転を中断した人が、免許取得や運転再開に向け訓練を受けるニーズが高まっている。県内で唯一、自動車メーカーのホンダが開発した「福祉関連安全運転教育プログラム」を導入する津嘉山自動車学校(南風原町、親川博校長)は2016年4月から補助装置付き専用車両による教習訓練を始め、利用者数は1年半で計80人超、106時間に上った。県指定自動車学校協会(県内21校で構成)は今後、本島中部・北部地域にも各1校ずつ同プログラムの実施校を設け、教習を受けやすい環境づくりを後押しする。(学芸部・座安あきの)

高次脳機能障害の患者の運転能力を評価するサポートソフトを説明する技能検定員の仲原英久さん(右)。操作反応の速さや正確さをはかることができる=南風原町・津嘉山自動車学校

 身体障がい者が免許取得や運転を再開するには、運転免許センターで適性検査を受け、運転の可否や補助装置の条件など適格判断を受ける必要がある。

 津嘉山自動車学校は15年3月から脳梗塞などで高次脳機能障害を負いリハビリ中の人向けに、運転再開の評価や訓練をサポートするシミュレーションソフトを導入。病院などと連携しながら患者を受け入れ、専用教習車による実際の教習訓練も提供してきた。同校副管理者の與儀喜史さんは「需要の高さは予想以上。中部や北部から送迎され通う人もいる。受け入れ可能な学校が増えれば、もっと増えるだろう」と話す。

 需要の高さを受け、同協会は名護自動車学校(名護市)と普天間自動車学校(北中城村)に津嘉山と同じ教育プログラム導入への協力を依頼。9月30日、運転免許センター(豊見城市)で初めて指導方法に関する講習会を開く。教習指導員のほかに、医療機関から数十人の作業療法士も参加する予定で、医療機関との連携のあり方も検討する。

 同協会によると、現在県内でアクセルやブレーキを手で操作できる装置付き教習車両があるのは津嘉山と北丘自動車学校(うるま市)のみ。同協会専務理事の下地一彦さんは「障がいの部位や程度によって必要な装置が異なり、車両価格も高くなる。各学校が自前で教習車を用意することは経営的に厳しい面がある」と話す。

 北丘は2000年の開校時から身体障がい者を受け入れ、年1~2人が免許を取得している。津嘉山と共通する課題は、施設面でバリアフリーに対応していないことだ。両校とも建物にはスロープやエレベーターがなく、上階の学科教室への移動では、職員ら3~4人がかりで車いすや患者を抱きかかえている。ほかも同様で、受け入れに二の足を踏む要因になっているという。 NPO法人県脊椎損傷者協会理事長の仲根建作さんは、「障がい者が自力で移動できるかどうかは、就労や社会参加に大きく影響する」と指摘。「以前は県の更生指導所(現・相談所)で補助装置付き教習車両を貸し出す事業があったが、車両の老朽化で中断されたまま」とし、「企業ができる範囲には限界がある。行政が地域ニーズを把握し、障がい者の教習訓練や教習所の環境整備を資金面でも後押しする必要がある」と訴えた。