夏休みの時期には、学校健診で視力低下を指摘された子どもたちが眼科に大勢やってきます。学校での視力判定は、A(1・0以上)視力は正常、B(0・7~0・9)学校生活への影響はわずか、C(0・3~0・6)教室後方の席からは黒板の文字が見えにくい、D(0・2以下)教室の前列でも黒板の文字が見えにくい、と解釈します。眼科医は授業に支障がでないよう、必要に応じて眼鏡を掛けるよう助言します。

正視状態と軸性近視状態

 2016年度学校保健統計調査によれば、裸眼視力1・0未満の割合は、小学生で31%、中学生で55%、高校生で66%といずれも過去最高でした。(個人差はありますが近視の進行は15、16歳ごろまで続くといわれています)

 近視人口はこのわずか数十年でアジアを中心に世界的に増加傾向にあります。急増の原因は遺伝子因子の変化というよりも、環境因子の変化による影響が大きいとされています。例えばテレビ、パソコン、携帯電話やスマートフォン、携帯用/家庭用ゲーム機などのデジタル機器の普及により、「近業時間」(目とモノとの距離が近い状態で作業する時間)の増加や「屋外活動時間」の減少が、近視人口の増加に関係している可能性があります。

 では、学童の近視の進行を抑えるにはどのような方法があるでしょう。

 世界的には小児におけるオルソケラトロジー(就寝中に装用し、日中は外す特殊なハードコンタクトレンズ)は、近視の進行を抑える治療法として有効性が認められています。しかし、日本ではオルソケラトロジーは20歳以上を対象としているため、小児まで適応年齢を拡大していく方向での研究が現在継続中です。

 また、子どもの近視は眼軸長が伸びる(眼球が楕円(だえん)形に伸びる)ことで進行することが多いので、眼軸長の伸びを抑えるために0・01%アトロピン点眼の有効性(近視の進行を平均60%軽減)がシンガポールの研究で確認されました。

 ただし、この点眼薬は日本では未承認なため健康保険の適応はなく、自由診療になります。現在、日本でも研究が行われており、この研究で効果が確認できれば、日本でも標準的な近視進行抑制点眼薬として広く普及する可能性があります。

 現在、近視抑制で世界中の研究者から最もコンセンサスが得られている方法は「屋外活動時間」の増加とされています。診察室で親御さんから「これ以上、目が悪くならない方法ってないですか?」とよく質問されますが、手っ取り早いのは「毎日少しでも屋外での活動時間を増やしましょう」というところでしょうか。(嘉陽宗光 カヨウ眼科)