今帰仁に牧場 肉用普及目指す

 沖縄在来の「島ヤギ」を守ろうと、今帰仁村の山中で繁殖に取り組む男性がいる。元県職員の宮城正男さん(65)。琉球王朝時代から家畜として重宝されてきた島ヤギだが、大型ヤギの導入で減少の一途をたどる。宮城さんは「アグーのような経済効果のあるヤギにしたい」と夢を抱いている。

宮城正男さんが育てている島ヤギは8頭。それぞれに名前を付けており「ダイチ」(左手前)が一番の古株だ=今帰仁村今泊

 宮城さんと島ヤギとの出合いは2011年。主に畜産研究をしてきた県庁を退職する直前、伊江島でのマラソン大会に出場中、偶然放牧されている島ヤギを発見。「貴重な在来種を育てたい」と、飼い主に申し出て雌雄2頭を購入した。

 翌年、今帰仁城跡から約500メートル離れた山中の土地約3800平方メートルを買い、飼育小屋を自作。「みーつぴんざ(三匹のヤギ)牧場」と名付け、島ヤギを育て始めた。自宅は八重瀬町だが、週5日は単身、牧場で生活している。

 ヤギに詳しい獣医師の平川宗隆さん(72)によると、島ヤギは琉球王朝時代の1400年代、中国大陸や東南アジアから台湾を経由して沖縄に入ってきたとされる。黒や茶の混じった有色で、家畜として人々の生活を支えた。だが成長しても体重は20~30キロほどと小柄。肉が多く取れず、経済性は低かった。

 1926年、長野県から日本ザーネン種という大型で白色のヤギが導入され島ヤギと交配し、体重約50キロほどまで大型化。島ヤギの特徴だった有色の毛色は優性の白色に取って代わられ、この雑種が肉用ヤギの主流となった。

 宮城さんは現在、島ヤギ8頭を育てる。名前を付け、血統を証明する出生確認書を登録。「一人で増やすのは無理」と、繁殖した30頭余りは県内の畜産会社や個人に販売してきた。

 ただ、県職員としてアグーの研究もした宮城さんは悩む。「アグーのように肉用として見直されれば普及するが、島ヤギはペットの域を出ない」ためだ。

 島ヤギの保存に取り組む沖縄こどもの国(沖縄市)の高田勝園長は「沖縄は島のものを大切にする人が多く、『島ヤギを食べてみたい』という声はよく聞く。今後、価値が見直されるはずだ」とエールを送る。(社会部・伊藤和行)