昼間働いている会社にも親にも内緒で、スナックやキャバクラで週3回働く-。沖縄で若い女性から、そんな話を聞くのは珍しいことではない

 ▼非正規社員だったり、アルバイトだったりして昼の給料だけでは生活できないからだ。ダブルワークのきつさと、遅刻して会社に知られ契約を打ち切られて、やむなく夜のアルバイトが本業になった女性もいる

 ▼来月、那覇市松山の繁華街で働く若者の居場所をつくろうと「癒やし大学」が開校する。開けるのは女性たちが訪ねやすい午前2時~7時までだ。NPO法人こころひまわりの若尾美希子代表が深刻な状況を痛感し、いかに若者に寄り添おうとしているかが分かる

 ▼支援を受けた女性は高給を取りながら多額のローンを抱え「店ではテンションを上げて、家に帰れば思いっきり落ち込んで」いたと告白。話せる場所の大切さを身をもって知った。今では支援する側に回る

 ▼夜働くと昼夜逆転し、家族や友達とのコミュニケーションも希薄になりがちだ。深刻な悩みがあっても、身近に安心して相談できる環境は少ないのかもしれない

 ▼大学に賛同し講座を持つ講師8人は、昼間の仕事があるという。未明にも働き交代で泊まり込む態勢は、支援する側もきつい。福祉が届きにくい場所に差した光が隅々まで行き渡り長く続くことを願う。(与那嶺一枝)