「好きなようにさせることが上手になるこつ」。かれこれ17年も前の話だが、プロテニスの伊達公子さんが子どもたちにテニスを教えるイベントを取材した際に、話を聞く機会があった

▼ラケットの握り方ひとつでも、だめとか間違っているとは絶対言わない-。好きなことに熱中することが上達への近道なのだと理解した。同世代として、憧れの存在の言葉に勇気をもらった気がした

▼自身のブログで「2度目」の引退宣言をした伊達さん。1996年の「1回目」の引退後、11年半のブランクを経て2008年に37歳で現役復帰した。「私を追い抜いて世界で戦える人が出てほしい」とエールも込めた再チャレンジだった

▼世界中で挑戦し続ける姿は頼もしく、諦めない精神力の強さをみせてくれた。そのストイックさと活躍はどの世代をも魅了したはずだ。だが、近年はけがに悩まされ、元世界ランキング4位の肉体は限界を迎えた

▼ブログでは「もう痛みと向き合わなくてもいいんじゃないか…」と吐露。一方では、自分らしいテニスをもう一度やりたいとの思いがあることを素直につづっている

▼自分らしく、好きなテニスに真正面から向き合ってきたからこその思いだろう。9月のジャパン女子オープンが最後の舞台。コートを去っても伊達さんの足跡は消えることはない。(赤嶺由紀子)