ある時、友人が仕事の延長線上で結婚詐欺師を目の当たりにする機会があったという。友人の感想は「??何をどうしたらこんな男にだまされるのだろう」だったとか。

「結婚」の一場面

 ディーン・フジオカ演じる結婚詐欺師、古海健児はただただ美しい。涼やかなまなざしでピアノも弾けばダンスもこなし、何より女性の劣等感をプラスに変えてくれるような肯定感あふれる会話力が素晴らしい。

 どうあらがってもこれではだまされてしまいそうだ。古海の決して埋まらない底なしの孤独への恐怖がじわじわ女たちの母性を侵食していく。

 うそが露呈した後に訪れるのは憎悪だけかと思いきや人の心とは不思議なもの。前述の「こんな男~」にだまされた女性も最後まで懇願したそうだ。「あの人は私がいないとダメなのです」と。(スターシアターズ・榮慶子)

 ◇シネマパレットで2日から上映予定。