放っておけば負債になりかねない空き家も、貸して生かすことはできる。老朽化で改修費用が膨らみそうだが、借り手がリフォームできる条件で貸し出すこともでき、活用方法は広がっている。再生に取り組んでいる人や地域を取材した。(学芸部・榮門琴音)

老朽化した空き家の屋根を改修する具志堅さん(左)と長濱さん=浦添市

 浦添市の国道58号近くにある推定築50年の空き家。ことし5月、同市の具志堅大樹さん(31)と長濱良起さん(30)が、民泊開業に向けて改修を始めた。古民家は不動産業者の賃貸情報にほぼ載らず、知人から紹介してもらったという。

 家賃は月2万5千円。自由に改修できる条件で借り受けたが、コンクリートは剥がれ落ち、屋根には30センチ四方の穴が空いていた。

 2人とも改修の経験はないが、詳しい友人や元大工の祖父の協力を得ながら作業を進め、9月の完成を見込む。費用は家賃含めて80万円程度。廃材を活用したり家財を譲り受けたりして、最小限に抑えた。

 具志堅さんは「沖縄らしさを維持しながらビジネスができる民泊で再生させたい」、長濱さんは「沖縄で育まれた家屋を残し、沖縄の人にも観光客にも見てほしい」と語る。

 名護市の羽地地域は、地域ぐるみで空き家の再生に取り組む。地域の小規模ビジネス創生を促す市の事業を同地域の自治会役員らでつくる羽地振興会が受託し、空き家の利活用を議論。住民説明会や改修を経て、ことし1月、同市真喜屋に民宿「とくすけやー」を開業した。

 空き家の選定は、住む予定があったり権利者が県外にいたりで難渋したが、「とくすけやー」の所有者が「地域のためなら」と承諾してくれたという。

 同市羽地支所長の謝花良竹さんは「地域主体なのでスピード感がある。地域住民と一緒になって考え、コンセプトを共有することが重要」と説く。

 改修は事業費で賄い、所有者の負担はない代わりに、8年契約の縛りを設けた。県外から家族連れや若者のグループが訪れ、地域住民は三線や沖縄料理の体験メニューを提供し、新たなビジネスにもつながっている。謝花さんは「空き家は生かせば財産になる。保全しながら地域に合ったテーマで生かしていきたい」と第2弾も検討中だ。

 県内の2013年の空き家率は10・4%、10軒に1軒は空き家になっている。誰もが空き家問題に直面する可能性はある。

 不動産鑑定士の松永力也さんは「地域をどうするか、ビジョンをはっきりさせ、修正できそうな場所から集中的に取り組むことが大切」と説いた。