「命の食事」事務局長 真栄平章子さん(36)=糸満市出身

 日本全国のがんの死亡率を30年で半減させる-。壮大な目標に向かい、アンチエイジングで知名度の高い乳がん専門医、南雲吉則さん(62)と二人三脚で啓発活動に取り組む。「大切な人をがんから守るため、今できることは何ですか」。体に優しい食事法や生活術を分かりやすく伝授している。

「沖縄を健康長寿県に復活させたい」と話す真栄平章子さん=東京・三番町の「命の食事」事務局

 南雲さんが実践の場として、2年前に立ち上げた一般社団法人「命の食事」。その理事・事務局長を務めながら、がん予防に役立つ食品開発や南雲さんの出版物の内容などについて、企業側とやりとりする。地方自治体と連携し、健康長寿社会に向けた施策づくりの提言も行っている。

 「発がん因子の上位三つは食生活、たばこ、感染症。その中で最大要因の食生活を見直せば、がんから命を守ることにつながる」。自ら実践し、手本となることで身近な“伝道師”の役割を果たしている。

 2人の出会いは偶然だった。3年前、瀬長島(豊見城市)のイタリア料理店で働いている時、南雲さんが客として訪れた。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドー病に悩まされていた頃だった。

 「食事を変えなさい。糖質を抑え、えごま油など良い油を取るようにしなさい」。南雲さんの教えを実践すると、次第に体調が改善し、主治医に診てもらうと数値は正常値に戻った。主治医から「あなたの体に合っているから続けて」と言われ、服用していた薬をのまなくてよくなった。身をもって効果を体験し「『命の食事』の事務局がしたい」と申し出た。

 糸満市で生まれ育ち、高校卒業後は全日空(ANA)のグランドホステス(地上勤務)として働いた。21歳で上京し、アパレルショップやヘアメークの世界で活躍していたが、父が末期がんであることが分かり、沖縄に戻った。

 南雲さんの講演を聞いたり、著書を読んだりした人から「あれって、どういうことなの?」とよく質問を受ける。体にまつわる複雑なメカニズムを、庶民目線でかみ砕いて説明する。「アフターフォローが私の役目です」と笑う。以前と様変わりした仕事。「携わりながら自分自身が成長できることがうれしい」

 故郷沖縄が長寿県から転落したことにも心を痛める。「いつか長寿1位を取り戻したい」。取材中、何度も古里への思いを口にした。〈チャンスは一度 思いは現実に〉。都内にある「命の食事」事務所の壁には、働き始めた頃の手書きの文字が残されている。(東京報道部・西江昭吾)=連載・アクロス沖縄<60>

 まえひら・しょうこ 1980年、糸満市生まれ。糸満高卒業。「命の食事」事務局長として、企業や自治体、生産者、メディアなどと連携し、普及に努める。11月5日には豊見城中央病院付属健康管理センター(豊見城市豊崎)で、「命の食事」を学ぶ南雲さんの講演会がある。問い合わせは、電話03(6256)9661。