那覇市泉崎の県議会棟に隣接する広場の一角に愛のシーサーという記念碑が建つ。台には親子3頭が鎮座する
▼青少年健全育成のシンボルとして、那覇地検の検事正らが呼び掛け、1995年6月に落成した。募金運動が広がる時、少年非行防止で奔走していた県警幹部が「シーサー建てて済むなら苦労はいらない」と苦笑したのが忘れられない
▼建設費用で約3400万円の募金が集まった。現在、ライトアップ費用や修繕などの維持管理は県が負担する。それだけの資金があれば、進学支援や更生を応援する企業への補助に使えないかと思ったものだ
▼那覇市が建てる龍柱にも同様の思いを抱く。那覇市と中国・福州市の友好交流を記念する目的には賛同するが、一括交付金を含んだ3億3千万円を費やす事業としていまひとつ納得できない
▼那覇市納税課によると、2014年度の市民1人当たりの個人市民税の納税額は4万円余り。補正予算案に計上された約1億296万円の建設費は2千人以上が納めた額に相当する
▼限られた予算は青少年交流や留学生受け入れなど人材育成に力を入れるべきではないか。龍柱がそびえ立つとき、福州とのいにしえからの交流に思いをはせるとともに、一括交付金を含めた予算の使い方を考えさせられるモニュメントになりそうだ。(与那原良彦)