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知事の書簡が「誤算」 自然遺産登録、辺野古と別協議望む県の思惑

2017年9月9日 05:00

 国や沖縄県などが世界自然遺産の登録を目指すやんばる地域の現地調査が来月にも迫り、名護市辺野古の新基地建設を議題に載せるかが焦点になっている。登録の審査を担う国際自然保護連合(IUCN)が、登録候補地に近接する大浦湾で進む新基地建設問題を「議論する必要がある」としたのに対し、県は「審査過程とは別に議論してほしい」と回答した。県には新基地問題を絡めれば登録の支障になるとの懸念があり、やんばる地域の世界自然遺産の実現を最優先させたいという思惑が働いた格好だ。(社会部・篠原知恵)

■登録に何年かかるか

 発端は、翁長雄志知事が4月にIUCNの事務局長に宛てた書簡だった。新基地建設による環境問題を検証し、日米両政府に建設断念を働き掛けてほしい-としたためた。すると5月、事務局長から指示を受けた自然遺産の事前審査責任者から「現地調査時に議論する必要がある」「県が関係機関と調整するよう提案する」との返書が届いた。

 「誤算だ。新基地問題が審査に絡めば、登録に何年かかるか」。県幹部は明かす。160カ国以上の政府機関などが加盟する自然保護ネットワークでもあるIUCNは、登録可否を最終判断する国連教育科学文化機関(ユネスコ)に審査の結果を諮問する機関にもなっている。

 別の県幹部は「知事の書簡は、IUCNが持つユネスコの諮問機関という立場ではなく、世界規模のネットワークの発信力に期待したつもりだった」と語る。

■別はおかしい

 「過去をみれば、IUCNが新基地を切り離して審査するのはあり得ない。基地と環境を議論する最高の国際舞台にもかかわらず、なぜ県は正面から議論していかないのか」。ジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんは憤る。IUCNは過去4度、日米政府に対し、大浦湾での新基地建設に伴うジュゴンや外来種対策を巡る勧告決議を出しているからだ。

 筑波大学大学院で世界遺産専攻長を務める吉田正人教授も「県知事名で書簡を出しており、今さら『別で』と言うのはおかしい。基地問題を含め評価してもらうしかない」と指摘。「新基地に懸念を持つ人を含め多様な住民や団体と、IUCNの調査員が議論する場を作れるよう、県は国と調整すべきだ」と語った。

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