「県内景気は全体として拡大している」-。日本銀行那覇支店(松本孝一支店長)は沖縄県内の経済情勢について48カ月連続でこう判断し、先行きも「引き続き拡大する可能性が高い」と見通した。観光客や人口の増加による実需の高まりや活発な経済活動、雇用・所得関連指標の改善などを踏まえた見解だが、4年を経てもなお景気の「拡大」を実感できない県内企業も多い。需要の取りこぼしや、本土からの進出企業などとの競合激化で苦戦を強いられている側面もある。拡大の実感が広がるためには、顧客ニーズの把握や販路拡大などを見据えた投資など、企業努力をはじめ行政側の支援策も求められる。

観光客でにぎわう那覇市第一牧志公設市場に続く市場本通り=8日、那覇市

観光客でにぎわう那覇市第一牧志公設市場に続く市場本通り=8日、那覇市

 ■対照的な数字

 「私どもはマクロで県全体の成長を見ているが、中小企業の調査では景況感が伸びていないものもある」。

 松本支店長が8日の記者発表で言及したように、金融機関などが発表している多くの調査で県経済の好調ぶりが伝えられるが、県中小企業団体中央会(津波古勝三会長)が発表する数字は対照的だ。

 同会が8月に公表した7月の県内業界別景況動向によると、前年同月と比べた業況判断指数(DI)は全業種(22業種)でマイナス9・1ポイント。前月から4・5ポイント改善したものの、24カ月連続でマイナスとなった。津波古会長は「景気拡大と言われても、われわれ中、小規模の業界にその実感はない」と言い切る。

 ■需要取りこぼし

 県内では人口や観光客の増加に伴い、消費関連や観光分野の需要が拡大。それを狙うホテルや飲食関係などの企業が県外から進出し、競争が激化している。

 観光では旅行の個人化やオンライン旅行社の急伸など、顧客ニーズの多様化が進み、ニーズに十分に対応できず「一部で需要を取り損ねている」(松本支店長)実態もある。人手不足の深刻化の影響も加わり、収益力がさらに奪われるスパイラルに陥る企業もある。

 ただ、松本支店長は「そもそも需要自体はあり、中小の企業が伸びる余地はまだまだある」と強調。業務を効率化したり販路を拡大したりするためのIT投資や設備投資、企業間連携などが進めば「県経済はさらに足腰が強くなる」と指摘し、企業の経営改善につながる積極的な情報提供の必要性も訴えた。

 津波古会長も「働き方改革をはじめ、中央会としても企業の皆さんを支援していかなければならない」とし、国にもより効果的な中小企業支援策を求めた。(政経部・島袋晋作)