【松田良孝通信員】台湾に生息するベンガルヤマネコの一種「石虎(シフ)」の生息地で、地元の人たちが資料館を運営して来館者のガイド料で財源をつくり、高齢者が共に昼食を囲む活動の費用に充てている地域がある。環境に負荷の少ない稲作にも取り組んでおり、活動のリーダーは「観光客は良好な環境が維持されている場所に来たがる」と、豊かな自然環境を生かした地域づくりに意気込む。

竹森石虎資料館で石虎について説明する苗栗県竹森社区発展協会の鍾兆良理事長=6月21日、台湾苗栗県銅鑼郷

台湾に生息する石虎=2016年10月18日、台湾苗栗県銅鑼郷(苗栗県竹森社区発展協会提供)

竹森石虎資料館で石虎について説明する苗栗県竹森社区発展協会の鍾兆良理事長=6月21日、台湾苗栗県銅鑼郷 台湾に生息する石虎=2016年10月18日、台湾苗栗県銅鑼郷(苗栗県竹森社区発展協会提供)

 活動を行っているのは台湾北西部の苗栗(ミアオリ)県銅鑼(トンルオ)郷の住民でつくる同県竹森(チュセン)社区発展協会(鍾兆良(チョンツァオリアン)理事長)。日本の特別天然記念物イリオモテヤマネコが生息する竹富町西表島と同じように、地元では行政が生息環境を保全する取り組みを実施。同協会は地元としてこれに呼応する取り組みを進めている。

 石虎は、日本統治期の文献には「タイワンヤマネコ」とあり、台湾の生物や文化などに関する研究で知られる鹿野忠雄は「台湾全島に希なるものではない」と説明している。近年は生息環境の悪化やロードキルなどにより、台湾全島で500匹程度に減り、苗栗県はそのうちの約300匹が生息するとみられている。

 同協会は2016年9月、地区内にあった鉄筋コンクリート平屋建ての建物2棟を改装して竹森石虎資料館を開館した。床面積合わせて約70平方メートルの施設内に石虎の生態などを説明するパネルを展示している。大型観光バスで来館する場合にはバス1台につき1600元(約5800円)のガイド料で説明。今年4月は50台の大型バスがやってきた。

 一方、高齢者が昼食を共にする活動は14年に始まり、毎週月曜日から金曜日までの毎日、地元の公民館で開催。多い時には1回に50人ほどが参加している。活動の背景にあるのは、台湾でも社会問題となっている少子高齢化。銅鑼郷の高齢化率は14年1月現在で台湾全体より4・7ポイント高い16・7%に達した。

 同資料館の開館以降は、ガイド料による収益を同活動の運営費にも充てている。

 手芸や歌、踊りなどの活動もあり、毎回来ているという謝李申妹(シエリシェンメイ)さん(90)は「楽しいです」。石虎を描いた帽子を作る手芸の活動を行ったこともあり、妹の李阿妹(リアメイ)さん(88)は「石虎は、昼間は出てきません。私も見たことはありません」と話していた。

 同協会は有機農業の推進計画も実施し、農薬や除草剤、化学肥料を使わない米作りを推進。鐘理事長(71)は「私たちは動物と共生している。私たちが環境に優しい方法で暮らせば、動物たちも健康になる。環境が良ければ、観光客が来るようになり、ちょっとした消費をしてくれれば地元にはメリットになる」と意義を語った。

(写図説明)竹森石虎資料館で石虎について説明する苗栗県竹森社区発展協会の鍾兆良理事長=6月21日、台湾苗栗県銅鑼郷

(写図説明)台湾に生息する石虎=2016年10月18日、台湾苗栗県銅鑼郷(苗栗県竹森社区発展協会提供)