突然の衆院解散は多くの人たちの生活に影響を与える。忘れられないのは小泉純一郎首相が、郵政民営化法案を参院で否決された直後、ちゃぶ台返しで断行した2005年の「郵政解散」

▼個人的な経験で恐縮だが、半年前に決まっていた結婚披露宴は、タイミングの悪いことに総選挙前夜。候補者の「最後の訴え」と重なり、取材に駆り出される同僚や関係業界で働く友人・先輩らの招待を見合わせるなど大変な目に遭った

▼安倍晋三首相が「国難突破」と位置付けた今回の唐突な解散表明。運動会などの延期を検討している学校もある。マラソンやトライアスロン大会を主催する自治体では、開票事務の人繰りという「困難」に直面している

▼消費税の使い道や北朝鮮への対応など国会での議論がないまま、今「国民に信を問う」と言われても、何が争点かさえも伝わってこない。総選挙にかかる費用は600億円を超える。貴重な血税だ

▼選挙のことを「デモクラシーの祭り」と言ったのは、英国のH・G・ウェルズ(SF作家・文明評論家)だという。多くの有権者の参加がなければ、政権の正当性自体が問われる

▼政界では新党結成など合従連衡が進む。各党はイメージや抽象論ではなく、沖縄の基地問題を含めた具体的な将来像を示し、有権者に政策の選択肢を示してほしい。(知念清張)