那覇市が2016年度に実施した空き家の実態調査で、市が空き家と推定した物件は473件あり、倒壊や飛散などの恐れがある不良度ランクDは57件あることが分かった。確認できなかった物件もあり、さらに増える可能性もある。空き家所有者への意向調査では「費用の支出が困難で解体できない」という悩みが多かった一方、近くの住民は本紙の取材に「火事や倒壊が心配」と不安を語る。市は本年度中に「空家等対策計画」を策定し、所有者への指導勧告や代執行などの手続きなどを定める方針だ。(社会部・浦崎直己)

壁や柱が焼け焦げ、物が散乱している空き家=那覇市内

壁や柱が焼け焦げ、物が散乱している空き家=那覇市内

 市が空き家の実態を調べたのは初めてで保有する情報などを照合し、604件を対象に実施。その結果、外観確認で空き家と推定した建物は323件。敷地外から確認できず、空き家の可能性がある建物が150件あり、計473件を「推定空き家」と判断した。

 外観確認した323件のうち、倒壊や飛散の恐れがある不良度ランクDの建物は57件(17・6%)。中~大規模の修繕が必要なランクCの建物は115件(35・6%)あり、合わせて過半数となった。外観確認できなかった物件もあり、ランクDはさらに増える可能性もある。

 大字別の分布では繁多川18件、牧志17件、三原16件の順で多く、10件以上の空き家がある大字は14。細い道にしか接していない空き家は建て替えや売買が進まない傾向があり、空き家状態の長期化の要因になっているという。

 また604件中180件は、固定資産税台帳とのずれや相続人が不明などの理由で所有者を特定できなかった。今後、裁判所に照会するなどして相続人の特定作業を進めている。

 市民生活安全課には週1~2件、「空き家から虫が発生した」などの苦情や情報が届く。池原哲之主幹は「調査で初めて実態が分かった。危険な物件も57件あり、安全安心なまちを目指して早急な対応が必要」と説明。市は近く法務や不動産に詳しい識者らでつくる審議会を立ち上げ、年度内に対策計画を完成させる。

 国交省によると、対策計画は全国の2割の自治体が策定済みで3割は本年度に作る予定。県によると県内で策定済みの市町村はなく、那覇市や名護市宮古島市、国頭村が作業を進めている。