瓦屋根が崩れ落ち、シロアリ被害で土台が腐食、荒れ放題の庭は悪臭と害虫の発生源-。住む人がなく長年放置されたままになっている危険な空き家が全国各地で増えている。 

 那覇市が、保有する情報などを基に604件を対象に実施した調査で、「表札がない」「郵便受けにチラシがたまっている」「電気メーターが停止している」など空き家と推定される建物が473件確認された。

 うち倒壊の恐れがあり解体や大規模修繕を必要とする不良度が最も高い「Dランク」の建物が57件を数えた。

 適切な管理がされず危険な状態にある空き家は、台風などで屋根が吹き飛ばされれば、その被害は周囲にも及ぶ。不審火など治安上の問題、衛生面での課題も指摘され、景観悪化を招く原因にもなりかねない。

 空き家の多くは1970年以前に建てられたもので、細街路に面し、間口が狭いなどの特徴があるという。利便性が悪く、市場価値の低い物件が、居住者の死亡や転居などによって放置されている状況が浮かび上がる。

 問題が複雑なのは、対象となった604件中、相続人が不明などの理由で180の建物で所有者が特定できなかったことである。 

 1人暮らしのお年寄りが亡くなり、空き家状態が長く続くなど、高齢化や核家族化も背景にあるとみられる。今後進展する高齢化と人口減少により、空き家はさらに増えるのではないか。

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 全国の空き家は、賃貸・売却用も含め2013年時点で約820万戸。住宅総数に占める割合は13・5%にも上っている。

 管理が不適切な空き家の増加を受けて、15年5月に全面施行されたのが空き家対策特別措置法。これにより市区町村は、放置すれば倒壊の恐れがある家屋を「特定空き家」とし、所有者に撤去や修繕を助言・指導できるようになった。改善されない場合は勧告や命令を出し、従わないときは行政代執行も可能だ。

 国土交通省によると、特措法に基づき撤去作業や活用促進に取り組む地区などを盛り込んだ対策計画を策定した市区町村は、今年3月時点で全体の2割ほど。那覇市は近く審議会を立ち上げ、年度内に対策計画を策定する方針というが、沖縄に限ればゼロである。

 空き家増加への危機感は薄い。

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 那覇市が空き家所有者に対して行った意向調査では、解体費用がネックとなり処分が進まない状況も浮き彫りになった。空き家に仏壇があることを理由に挙げる人もいた。

 もちろん管理責任は所有者にある。しかし強制撤去は最終的な手段で、解体や活用のための費用を助成するなど所有者に自主的な改善を促す施策がまず必要である。気軽に相談できる行政の体制づくりも重要だ。

 民間団体の中には、古い建物を地域資源として活用する動きが広がっている。空き家になる前に有効に活用する方策も模索すべきだ。