国が埋め立て工事に着手した新基地建設予定地の辺野古側海域で、環境省が定める絶滅危惧2類の「オキナワハマサンゴ」など14群体が見つかったにもかかわらず、13群体がすでに死滅していることがわかった。

 国はいったん工事を中断し、死滅の原因を詳しく調査すべきだ。

 環境保全措置などで科学的・専門的助言をする環境監視等委員会が9月27日、防衛省で開かれ、沖縄防衛局が報告して明らかになった。

 7月5~22日の調査でオキナワハマサンゴ2群体、ヒメサンゴ12群体が見つかり、9月1日までに13群体が死滅していたという内容だ。

 納得できないのは、7月の段階で確認されていたのに、県には報告がなかったことだ。発見後速やかに報告していたなら、専門家を交え、保全措置を取ることができたのではないか。

 死滅を確認してから報告するとは、国はいったいどういうつもりなのだろうか。

 県は4月以降、4回にわたり質問状を提出し、貴重種サンゴについても照会していたという。それにもかかわらず、報告をしなかった国の対応はあまりにも不誠実だ。

 国は、辺野古側の海域での工事はしておらず、原因を夏場の高水温が影響した、と工事との関係を否定している。ならば、それを証明するためにも異変の原因を調査しなければならない。

 現場海域への立ち入り調査は県も求めており、国は一日も早く認めるべきだ。

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 県は国に対し、サンゴ類の環境保全対策について協議することと、その間工事を停止するよう行政指導をした。

 国は死滅を免れたオキナワハマサンゴの「特別採捕許可」を県に申請する考えだが、そもそも県は、国が移植対象としているサンゴ7万3千群体の工事着工前の移植を要望していた。国はこれには応えないままだ。

 県漁業調整規則に基づく特別採捕許可は翁長雄志知事の新基地建設阻止カードの一つ。これを国が逆手に取り翁長知事に「踏み絵」を迫るものとの見方もある。

 前知事が埋め立て承認した際の留意事項の一つに「工事中の環境保全対策」がある。今回のサンゴの死滅は自然環境の大きな変化であり、国は県の指導を重く受け止めなければならない。

 問われているのは、環境保全に対する国の姿勢である。

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 新基地埋め立て海域には、5800種以上の生物が生息している。うち約260種が絶滅危惧種とされ、さらに約1300種は新種の可能性を秘める。世界に誇る生物多様性の「ホットスポット」だ。

 日本生態学会など19学会は2014年、辺野古海域を調査するよう要請したが、国は着工した。工事に伴い、海底に投入された大型コンクリートブロックによって多くのサンゴ群体が損傷されている。周辺海域で見られたジュゴン3頭のうち若い1頭が15年6月以来確認されていない。

 サンゴ死滅の原因がはっきりするまで国は新基地建設工事をストップすべきだ。