沖縄県外から買い付ける乳用牛の価格高騰を受け、県は沖縄生まれの乳用牛の育成に力を入れている。県産の子牛を県家畜改良センターで預かり、成牛まで育てて農家に返す「預託事業」での飼育頭数は323頭で、乳用牛の頭数確保が難しくなってきた2014年度に比べて3割拡大した。農家は飼育費用を約4割軽減でき、飼育頭数の増加や県産牛乳の安定生産が期待できる。県は同センターに新たに牛舎1棟を整備し、受け入れ態勢を拡充する。(政経部・久高愛)

子牛を育成する預託事業のスキーム

 県酪農農業協同組合によると、乳用牛は乳量の多い北海道産が導入されることが多かったが、北海道でも離農が進み乳用牛が減少しており、調達が難しくなった。

 近年は1頭当たりの市場価格が高騰。12年度は1頭当たりの平均価格が50万8千円だったが、16年度は81万5千円と6割増加。直近の17年9月の平均価格は86万4千円と高値となっている。購入すると輸送費などの費用がかかるため、1頭当たりの総費用は100万円を超え、農家の負担となっている。

 預託事業は産まれて約3カ月の雌の子牛を県家畜改良センターで19カ月間育成し、出産の約3カ月前に農家に戻す仕組み。預託費用など全費用は約60万円で、県外から導入するより1頭当たり約40万円のコスト縮減が見込める。

 乳用牛の頭数が減少し、14年度末の預託頭数は237頭だったが、現在は323頭に増え、牛舎新設で最大350頭まで受け入れが可能になる。今後は預託牛を従来よりも1カ月程度早めに農家に戻し、預託の回転率を上げて乳用牛の頭数増加につなげることも検討しているという。

 乳用牛は暑さに弱く、県内の生乳生産量は夏場に減少する一方、牛乳の消費量は夏場に高まる傾向がある。さらに今年は猛暑により生産量が激減、県内の小売店では牛乳の販売を制限するなどの対応に追われ、県産生乳の安定供給が課題となっている。

 県畜産課の担当者は「中長期的な視点に立ち、県産乳用牛の育成で、生乳生産量の安定体制を構築したい」と語った。