社説

社説[ヘリ事故抗議決議]今こそ抜本的な対策を

2017年10月17日 08:43

 選挙を意識した歩み寄りだとしても、県議会が全会一致で決議した意義は、決して小さくない。幅広い県民の声をくみとった新たな取り組みの第一歩として評価したい。

 東村高江の民間の牧草地で米軍の大型輸送ヘリCH53Eが炎上・大破した事故で、県議会は抗議決議を全会一致で可決した。

 決議は「民間地上空及び水源地上空での米軍機の飛行訓練を中止すること」「東村高江周辺6カ所のヘリパッドの使用を禁止すること」の2点を求めている。

 翁長雄志知事を支える社民、共産などの県政与党だけでなく、国政与党の自民、公明も加えた全会一致の決議となったのは、相次ぐ米軍ヘリ事故に対する県議会の危機感の表れといえる。

 最近の米軍ヘリの重大事故や民間空港への相次ぐ緊急着陸は異常としかいいようがない。単に多発しているというだけではない。深刻なのは民家からそれほど離れていない民間地域で事故が相次いでいることだ。

 演習場と飛行場と住宅地域が、住民への影響を防ぐ十分な緩衝地帯もないまま隣接し、本島の周りが訓練空域、海域に囲まれている現状の深刻さは、もはや放置できない。

 米軍機による事故はどこでも起こり得る-という深刻な現実が突きつけられているのである。北部の演習場は水源地にも近い。

 これまでのようなその場しのぎの対応では事故の再発を防止することはできない。事故慣れは事故への鈍感さを生み、真剣な対応を妨げる。

■    ■

 米軍はいずれ、「安全性が確認された」と称して訓練を再開し、政府も追認するだろう。だが、何をもって安全性が確認されたと結論づけるのか。それが問題だ。

 高江区は緊急の代議員会を開き、ヘリパッドの全面使用禁止を求める方針を初めて承認した。

 地元高江区の要求をくみとる形で県議会が高江の6カ所のヘリパッドの使用禁止を決議したことは、極めて重要である。

 県議会は、キャンプ・ハンセンにある宜野座村城原の集落に近いヘリ着陸帯「ファルコン」の使用禁止にも合わせて取り組んでもらいたい。

 「ファルコン」について米軍は「乗員の練度を達成するために不可欠」だと指摘しているが、住民は、昼夜を問わないオスプレイやヘリの飛行訓練に悩まされ続けている。

 高江や城原のような「目に見える被害」を放置するのは政府や米軍の怠慢である。

■    ■

 県議会の抗議決議は民意のありかを示す重要な意思表示だ。今回のようにヘリパッドの使用禁止を全会一致で決議したことは政府や米軍を動かす大きな力になり得る。

 議会の本気度が試されるのは選挙後である。議会として選挙後に何をやるのか。決議文を手渡すだけでは大きな壁を突き崩すことはできない。

 北部訓練場の約半分の返還のため高江区周辺に6カ所のヘリパッドを建設したのは、日本政府の調整の失敗以外の何物でもない。

 見直しが必要だ。

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