22日夜にあったボクシング世界戦。浦添市出身のWBCフライ級王者・比嘉大吾選手がKOで初防衛を飾ると、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手もKOでWBAミドル級王者に輝いた
▼五輪前、東洋大職員だった村田選手を指導したのは、興南・沖尚で具志堅用高さんら高校王者延べ40人を育てた金城眞吉さん(73)だ。2011年、同大監督に就くと村田選手の欠点を簡単に見抜いた。「お前、右のカウンター打てないだろ」
▼当時、国内無敵でどのコーチも口出しできない中、「国内王者で満足しているから海外で勝てないんだよ」と遠慮しなかった
▼ニーチェなどの哲学書を好む村田選手に「3人に襲われたらどうする?」「狭い路地に逃げて1人ずつ倒せ」と物騒な例え話で闘う心構えを説いたこともある。その指導が五輪の快挙につながったと評価する人は多い
▼今回の試合が決まると「大吾のような、倒し切るんだという気持ちで闘えば村田は勝てる」と予想。村田選手は、かつて金城さんに酷評された右ストレートで王者を再三捉え、ベルトを奪った
▼現在、病気療養中の金城さんはテレビの前で満面の笑みを浮かべたという。日本人五輪メダリストとしては初の世界王者の影に沖縄の名伯楽あり。今後、防衛ロードを歩む村田選手を鼓舞する声が聞こえてきそうだ。(磯野直)