米ハリウッド映画界の大物プロデューサー、ハーべイ・ワインスタイン氏が女優らに性暴力やセクハラを繰り返していた疑惑が波紋を呼んでいる

▼今月、米紙が初めて報じたが、ハリウッドでは長年「公然の秘密」だった。今になって映画監督や男優が、被害を知りながら沈黙していたことを懺悔(ざんげ)している

▼同氏の行為は30年前から始まったとされる。性暴力を容認する空気が業界にあったから、被害は続いていったのだろう。犠牲者は50人以上とも

▼国内では今月、ジャーナリストの伊藤詩織さんが手記「ブラックボックス」で元テレビ局ワシントン支局長の男性による性暴力を告発した。検察審査会に求めた審査は「不起訴相当」とされ、損害賠償訴訟を起こした

▼性暴力は「魂の殺人」と呼ばれ、実名で声を上げるのは容易なことではない。伊藤さんは「もしも沈黙したら、それは今後の私たちの人生に、これから生まれてくる子どもたちの人生に、鏡のように反映されるだろう」と著書で語った

▼ワインスタイン氏の問題をきっかけに新たな動きが生まれている。ツイッター上で「Me too」というハッシュタグで、性的被害を受けた人たちが世界中で声を上げ始めたのだ。性暴力に口を閉ざさない、黙認しない。その意識の共有が被害を食い止める力になるはずだ。(高崎園子)