那覇市にある美容関連の専門学校「琉美インターナショナルビューティカレッジ」(呉屋良昭理事長)の通信課程に10月、開校以来最高齢となる79歳の男性が入学した。後ろで結った赤い髪と眼鏡が個性的で「女性の美やおしゃれに興味がある」と目を輝かせる那覇市の阿波連憲正さん。高校時代から60年以上にわたり胸に秘めてきた、美容師になるという夢への一歩を踏み出した。(社会部・新垣綾子)

入学式の日、先輩たちの作品のそばに立つ阿波連憲正さん。淡いグレーのスカーフは自ら選んだお気に入りという=17日、那覇市・琉美インターナショナルビューティカレッジ

 「79歳の手習いとして人生に夢と希望を持ち、100歳になっても情熱を絶やさず冒険し挑戦していく」。17日にあった入学式で、阿波連さんが新入生7人を代表し宣誓の言葉を述べると、孫ほども離れた上級生や職員から拍手が湧いた。

 宜野湾市出身。1950年半ばの普天間高校時代、通学路には女性2人が働く美容室があったという。「とにかくきれいで華やかなものに心引かれた。しかし、男性がそんな仕事に就ける時代でもなかった」。20歳で上京し、部品工場などで働いて30代で家庭を築いた。離婚を機に40歳の時に帰郷すると、仕事や2女の子育てなどに駆け回る日々。疲労からか顔面まひや心臓を患うなど曲折を経た。

 体調はその後、少しずつ回復した。毎日のウオーキングや筋トレを欠かさず、家庭の問題が一段落した70代後半、くすぶっていた美容師への憧れが抑えようのないものになった。「生涯現役という言葉もある。体はすこぶる快調だし、何かを始めるのに遅いことはない」。子や孫も心から応援してくれた。

 琉美の呉屋マリヤ学園統括長(29)は「入学願書を取りに来られた時、てっきり娘さんかお孫さんに頼まれたと思っていたので驚いたが、ご本人の強い決意に感動した。業界人として長く歩んでいただけるよう、しっかり後押ししたい」と話す。阿波連さんが学ぶ美容師養成の通信課程は3年間。春夏2回、各15日ほどの集中講義のほかは自宅で課題のリポートをこなし、国家試験に備える。

 16歳が最年少という同期。その一人、新垣鈴乃さん(24)=那覇市=は「人生経験が豊富なので、いろいろお話してみたい」と期待する。順調にいけば82歳で卒業する阿波連さんは「仲間に刺激を受けながら腕を磨き、将来はどこかのお店で働けたら最高ですね」と思い描く。