「一緒に死んでくれる方いましたらdm(ダイレクトメッセージ)ください」-。彼女は本当に死にたかったのか、それとも誰かに悩みを打ち明けたい、そんな切実な思いだったのか。今となっては確かめることもできない

▼神奈川県座間市のアパートで切断された9人の遺体が見つかった事件で「自殺願望」を記した23歳の被害女性は、ツイッターで逮捕された27歳の男と知り合った。SNSではこうした呼び掛けに、瞬時で反応が来る。男は複数のアカウントを使い分け相手を誘い出していた

▼今どき、フェイスブックで数百人の「友達」を持つ人は珍しくない。名刺管理アプリではネット上で、顔を合わせぬまま名刺交換までできる

▼共通するのは手軽さだ。顔を合わせず、指先の操作で広がる世界に心の壁はほとんどない。SNSはネットワークづくりやビジネスツールになる半面、大切な命までも奪われる犯罪の温床になる危険性を見せつけた

▼悪意をもった人間か善意の人か。限られた文字数の文面から相手の真意を見極めるのは難しい

▼SNSの普及が、逆に孤独を深くしている面はないか。改めて人と人とのつながり、摩擦はあっても日頃から言葉を交わし合うことの大切さを思う。事件の全体像はまだ見えない。残忍な凶行を引き起こした容疑者の心の闇を解明してほしい。(知念清張)