大御所風の民謡歌手、護得久栄昇(ごえく・えいしょう)が人気だ。10月18日には初アルバム「護得久栄昇大全」を全国で発売し、活動の幅は沖縄にとどまらない。かちっとセットした髪に劇画調の濃い顔立ち。“老け顔”の新星は「初アルバムだけどベスト盤」と言い放つ。多くは語らず「わかるよね…!」「チャメー!」などの決めぜりふで人気を博し、沖縄県内イベントで引っ張りだこ。年内の週末スケジュールは全て埋まっているという。(学芸部・松田興平)

アルバムを手に遠くを見つめる護得久栄昇=那覇市のFECオフィス 

 自称、護得久流民謡研究所会長の護得久は今年4月に「愛(かな)さ栄昇節」、5月に「汝(やー)ぐとーるむんが」、6月に「たーがしーじゃか」をネット配信シングルとしてリリースし、いずれも沖縄ちゅらサウンズで1位を獲得。歌は荒削りでも大物感あふれる歌詞と親しみやすいメロディーで魅了する。いずれもアルバムに収録されている。

 制作陣が充実している。プロデュースを手掛けるのは民謡歌手、古典芸能実演家として活躍する、よなは徹。収録曲の作曲家には民謡歌手の前川守賢も名を連ねる。

 また、アルバムは独演会というイメージで構成され、国立劇場おきなわなどで演目紹介を務めるフリーアナウンサーの崎山律子の案内で始まる。ジャケットの題字は書家の豊平峰雲が手掛けた。護得久は「一流は一流を呼ぶ」と当然のように言う。

 護得久が最初に躍り出たのは音楽シーンでなくお笑い界。お笑いコンビのハンサム・金城博之装うキャラクターだということは公然の秘密だ。

 相方の仲座健太とキャラクターを考案した。着物姿で金の腕時計とネックレスを身に付け、セカンドバッグ。そしていかつい口調と顔。沖縄にいそうな重鎮歌手のイメージを集約して今年、テレビでネタを初披露した。

 「沖縄に著作権はないよ!」「チンダミするよ!」などの放言で大ウケ。この勢いで音楽界でもデビューした。

 金城自身は謙虚で物腰柔らかい。演じていないときに話すと「最初は誰かベテランの方に怒られると思った。三線は弾けないし、民謡に詳しいわけでもない。でも古謝美佐子さんたちが笑ってくれ、後押ししてくれた」と感謝する。

 本物を引きつける魅力でファン層を着実に拡大。イベントでは手作りうちわを持参した若者から「チャメー!」と歓声が上がるという。

 今回の全国リリースで県外にもファンを獲得し、FMヨコハマの番組でレギュラー出演も決まった。この人気ぶりを「いつまで続くのか」と不安を隠せない金城。

 護得久としての意気込みを尋ね直すと「目標はレコード大賞と紅白出場。まずは通過点として国立(国立劇場おきなわ)でやりたいね」と威勢良く語ってくれた。

 同アルバムは13曲収録で2700円。

 【ごえく・えいしょう】 1952年首里市生まれ。護得久流音楽協会師範、うちなー古典音楽護得久流教師、うちなー民謡保存会教師。本人いわく産声も「チャメー」。

 【きんじょう・ひろゆき】 1972年那覇市生まれ。2000年にハンサム結成。テンポの良い漫才で県内賞レースの決勝常連。

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