沖縄から世界へ雄飛した移民の子孫の間では、家族のルーツへの関心が高い。ハワイの県人会には「沖縄系図研究会」もあるほどだが、世代が進むほど1世の足跡をたどるのは難しい

▼そんな世界のウチナーンチュの心強い助っ人が沖縄県立図書館の「移民1世ルーツ調査」サービスだ。同館主査の原裕昭さん(39)が昨春、窓口に来た県系3世の祖先探しを手伝ったのがきっかけで始まった

▼移民名簿で祖父の名前を見つけると「涙を流さんばかりに喜んでくれた」と振り返る。半年後のウチナーンチュ大会でもニーズがあると考え、ブース設置の準備を進めた

▼大会での相談は273件。3万7千人分の名簿のページをめくる作業が続いた。探しあぐねていた1世の出身地が分かり号泣した人もいた。ハワイにも出掛け170件の相談を受けた。この取り組みが今年の「地方創生レファレンス大賞」で最高賞を受けている

▼現在は約5万人分の名簿をデータベース化した。海を渡った人々の物語を、子孫たちと共にひもとく。こんなすてきな公的サービスが他にあるだろうか

▼食料や衣料、学用品…。沖縄戦で荒廃した古里のため、移民たちは私財を投げうって救援の手を差し伸べた。サービスの充実は世代交代が進む世界のウチナーンチュと県民の絆を強め、同時に海外の同胞への恩返しにもなる。(玉城淳)