原形をとどめないほどに大破した軽トラック。21歳の米海兵隊員による飲酒運転で、早朝の出勤途中に突然命を奪われた会社員と家族の無念さを思うと胸が締め付けられる

▼基地内で酒を飲んでいたという海兵隊員は「公務外」なのに運転していたトラックは公用車。管理体制に落ち度があるのは明らかだが、証拠の車は日米地位協定で「米軍の財産」として米側の手に。県民が理不尽に犠牲になる構図は、本土復帰前と変わらない

▼全米アルコール乱用・依存症研究所の調査によると、週に1度以上、1回5杯以上の大量飲酒は18歳~25歳の米国一般市民で15・3%。これに対し米軍全体では27・3%。さらに海兵隊員に限ると35・4%に跳ね上がる

▼「トリガープラー」(引き金を引く人)との異名を持つ海兵隊員は、血気盛んな独身の若者が多い。沖縄でストレス解消から羽目を外されたのではたまったものではない

▼外出時間や飲酒の規制を盛り込んだリバティー制度や外出禁止令。再発防止策が何度繰り返されれば、悪質な事件や事故はなくなるのだろうか

▼「われわれの駐留の結果、事件が起きたことに謝罪する」-。在沖米軍トップがどれだけ知事に深く頭を下げても、失われた命は戻らない。県民の命を犠牲にした安全保障とは何なのか。海兵隊の駐留そのものを見直す時だ。(知念清張)