学校法人「森友学園」(大阪府)への国有地売却問題を調査していた会計検査院が、売却地のごみ撤去費用として8億円以上も値引きしたのは過大で、根拠不十分とする報告書をまとめ、国会に提出した。

 「法令に基づき適正に処理」という政府の説明に、改めて大きな疑問を突き付けた意味は大きい。

 根拠不明瞭のまま、国民の共有財産である国有地の大安売りが、なぜまかり通ったのか。異例の売却となった核心は何なのか。検査院の報告書でも疑惑は未解明のまま残っている。行政のトップとして、安倍晋三首相には真相の究明と説明の義務、責任がある。国会も引き続き政府をただしていかなければならない。

 森友学園は2015年5月、小学校用地として大阪府豊中市内の国有地の借地契約を国と締結した。しかし、同学園は16年3月に、国有地の処分を担う財務省に対し、国有地の地中からごみが出たと申し立て、買い取りの交渉を始めた。財務省は、土地を所有する国土交通省大阪航空局に、ごみの処分量の見積もりを依頼し、撤去費を算定した。

 土地は、鑑定価格の9億5600万円から、ごみ撤去費として8億2千万円を値引きし、1億3400万円で売却された。

 なぜ9割近くも値引きされたのか。大阪航空局は、過去の試掘調査の結果や工事業者が撮影した写真などを基に、ごみがある深さや敷地全体のごみの混入率を計算し、ごみの量や処分費を算出したという。だが、検査院は、その見積もり自体に疑問を呈した。

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 報告書では、業者の写真ではごみのある深さを確認できず、試掘でごみが出ていない地点もあるのに、ごみ混入率の計算に反映されていないことなどを挙げ、処分量算出の根拠を確認できなかったと指摘している。ごみの処分費の単価が妥当かを示す資料もなかった。

 検査院は、実際の処分量は国の推計から最大で7割少なかった可能性があるとしている。報告書には盛り込まれなかったが、検査の過程で値引き額は最大約6億円が過大だと試算していた。

 国が処分費の算定に用いた資料や売却に関する交渉の文書が破棄されていたため、売却額が適切か検証することができなかった。文書管理のずさんさは重大な問題だ。

 政府は「適正な処理」と胸を張っていた。だが、適正かどうかを検証できない中、そう繰り返してきた姿勢は厳しく問われるべきである。

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 算定や文書管理がずさんだったということで済む問題ではない。安倍首相の昭恵夫人が建設予定だった小学校の名誉校長を務めていたことなど、夫人と学園とのつながりが官僚の忖度(そんたく)を引き起こし、売買交渉に影響したのではないのか。

 国会は、来週から始まる衆参の予算委員会で、解明に当たらなければならない。

 そのためには、昭恵夫人や国会で適正処理と強調していた当時の財務省理財局長で現国税庁長官の佐川宣寿氏らの国会招致は不可欠だ。