米軍キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区跡地への沖縄県立普天間高校の移転に必要な用地取得が進んでいない。県によると、区画整理の減歩前で約7・5ヘクタールの用地取得を目指すが、8月末に取得手続きを始め、今月24日時点で地主からの申し出は計2件、面積は1%に満たない約0・07ヘクタールにとどまっている。地主にメリットとなる譲渡所得の最大5千万円控除の期限は来年3月末。県は「引き続き土地の譲渡に理解、協力を求めていくしかない」とするが、関係者は一様に「正直、想定外だ」と頭を抱えている。(政経部・伊集竜太郎、中部報道部・勝浦大輔)

普天間高校や琉球大学医学部・付属病院の移転が計画されている米軍キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区跡地=日、宜野湾市

◆政府も宜野湾市も、同校同窓会も後押し

 普天間高は、現在の学校敷地が狭いことなどから、同窓会が2013年12月に西普天間への移転を県教育委員会に要請。県や市にも求め、同窓会とPTAが1万7511人分の署名を集めるなどした。

 その後、佐喜真淳宜野湾市長や市議会も県教委などに要請してきた。県教委は「国からの特別な財源措置がない限り難しい」としてきたが、ことし4月の市議会などの要請後、翁長雄志知事が知事部局に検討を指示し、県と内閣府が調整してきた。

 そんな中、6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に、政府内では国の方針に県立高校名を入れることへの慎重論もある中、自民党内の議論を踏まえ「普天間高校を活用した人材育成拠点の形成を図る」との文言も入る展開にまで発展した。

 県は取得手続き開始以降、県の委託を受ける県土地開発公社の職員とともに地主宅への戸別訪問のほか、周辺の自治会が実施するデイケアにも足を運び理解、協力を呼び掛けて機運醸成を図っているという。県の担当者は「地主からは移転自体はいいことだと評価を頂いている」と強調するも、地主の売却申し出の件数が伸びない現状に厳しい表情を浮かべる。

◆売らない理由、さまざま

 なぜ、売却の申し出が進まないのか。市軍用地等地主会の又吉信一会長は「先祖代々の土地、子や孫に譲りたい、投資目的…。土地は大切な財産で、売らない理由はさまざま」と難しさを訴える。その上で「何度も戸別訪問し、丁寧に説明する以外に代案がない。県も頑張っているが、なかなか前に進まない」ともどかしさを口にした。同窓会やPTA、市軍用地等地主会、自治会などで構成する普天間高校移転促進協議会の宮城政一会長は「厳しい状況だが、もう少し様子を見たい」と話し、広報活動などで支援する方針だ。

 一方、昨年11月から市が必要用地の取得手続きを始めた琉球大学医学部・付属病院移転については、区画整理の減歩前で約27・2ヘクタールの用地が必要の中、9月15日現在で約15・58ヘクタールの売却申し出を受けた。区画整理事業で出る保留地などで約8・1ヘクタールが確保できる見込みで、残りは約3・52ヘクタール。市の西普天間跡地推進室の担当者は、「こちらも予断は許さない。今後もさらなる用地確保を目指す」と気を引き締めた。