沖縄県内で長年にわたり、アルコールなどの依存症問題に取り組んできた大田房子さん(60)、村吉政秀さん(56)、仲松靖幸さん(46)の3人が今年4月、一般社団法人「おきなわASK」(豊見城市金良)を立ち上げ、活動している。3人はそれぞれ、アルコール依存症の家族、当事者、依存症治療専門病院に勤めた看護師。経験や立場の違う3人がタッグを組んで、病気の正しい知識を広め、当事者や家族の支援に当たっている。(学芸部・高崎園子)

おきなわASKのメンバー(左から)大田房子さん、村吉政秀さん、仲松靖幸さん。今年7月、3人そろってASK認定依存症予防教育アドバイザーの資格を取得した=豊見城市金良の事務所

 ASKの名前は、30年以上にわたり、国内の予防活動をけん引してきたNPO法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)=東京=から。ASKと提携する地域団体の発足は全国で初めて。

 おきなわASKは現在、ギャンブルなどを含めた依存症の知識を伝える基礎講座や家族向けの教室、電話や面談での個別相談に取り組んでいる。

 若いうちからの予防が鍵を握ると考え、今後、学校現場での啓発活動に力を入れる方針で、3人は7月、ASK認定の「依存症予防教育アドバイザー」の資格を全国で初めて取得した。

 県内は、AUDIT(アルコール使用障害同定テスト)で依存症が疑われた男性の割合が14%で全国の2・6倍、女性は4・5%で全国の7・5倍に上る。また飲酒絡みの交通人身事故の割合が27年連続で全国ワースト1位、アルコール性肝疾患による男性死亡率が全国の2倍と深刻な状況にある。

 2014年に施行されたアルコール健康障害対策基本法を受け、県は17年度中に「アルコール健康障害対策推進計画」を作成する予定で、依存症対策が進むことが期待される。

 おきなわASKの代表理事に就いた大田さんは、夫が飲酒運転で人身事故を起こすなど酒害に苦しんできた。夫と共に断酒会に参加し、予防活動に取り組むようになり、10年には全国初のASK認定飲酒運転防止上級インストラクターとなった。

 大田さんは「依存症は特別な人でなく、誰もがかかる病気。正しい知識や飲まずに生きられる『ライフスキル』を伝えることで、依存症になりかけている多量飲酒の人を引き戻し、病気の人を早く治療や支援機関につなげたい。沖縄の問題解決に、私たちが持っている経験やノウハウを活用してもらえたら」と意欲を燃やす。

 依存症当事者の村吉さんは、県警の飲酒運転根絶アドバイザーを務め、依存症の疑いがある人をできるだけ早く治療専門病院につなげる「早期介入」にも尽力してきた。

 仲松さんは糸満晴明病院のアルコール治療専門病棟に10年勤め、依存症リハビリテーションプログラムに携わった。村吉さんは「活動を通して沖縄から酒害をなくしたい」、仲松さんは「特に子どもたちへの予防教育に力を入れたい」と意気込む。

 おきなわASKは教育現場や事業所、地域での講座を請け負うほか、個別の相談にも乗る。問い合わせは、電話098(996)4096。