日本は「世界最低レベル」「前世紀並み」だという。受動喫煙対策へのWHO(世界保健機関)の評価だ。海外では49カ国が公共の場の屋内全面禁煙を法律で定める。日本は努力義務にとどまり、規制はない

▼2020年の東京五輪に備え、受動喫煙対策の強化が喫緊の課題となっているが、厚生労働省の規制案に自民党のたばこ議員連盟が反発。飲食店の規制を大幅に緩和した新案が浮上している

▼2年前、全面禁煙の飲食店を取材した。客の苦情を受けて禁煙に踏み切った店や健康志向の時代を見据えて導入した居酒屋があった。10月現在、県の禁煙施設認定飲食店は172軒。10年前の12倍と着実に増えている

▼飲食店の喫煙はそこで働く人が長時間副流煙にさらされることも大きな問題だ。未成年の従業員もいる。全席禁煙にしたファストフード店では高校生や長く勤める従業員が増えた

▼外食大手のすかいらーくグループは本社を全面禁煙するとともに通勤途中の喫煙も禁止に。賛否意見は分かれそうだが、踏み込んだ決定は社員の健康のためという

▼受動喫煙が原因で亡くなる人は推計で年間1万5千人。肺がんや脳卒中、子どものぜんそくや乳幼児突然死症候群などのリスクが高まることが科学的に証明されている。国民の健康を守る対策がこれ以上遅れてはならない。(高崎園子)