沖縄県は、沖縄在来の「沖縄アグー豚」の精子や卵子などを凍結保存する「ジーンバンク」の運用を本格化させる。すでに精子の収集を終えており、来年2月には卵子の採取に着手。受精卵や胚にも対象を広げる。伝染病などで沖縄アグー豚が壊滅的な被害を受けても、西洋豚の母体を借り、保存している生殖細胞を移植し早期再生につなげる。また同年3月には沖縄アグー豚の精子を農家に配布し、人気が高まっているアグーブランド豚の供給拡大を目指す。(政経部・久高愛)

遺伝子資源を凍結保存するジーンバンク

 将来的には「ジーンバンク」の技術を活用し、分析器具を使い、優良な肉質を持つアグー豚を選出。生殖細胞を収集し凍結保存、優良細胞同士を掛け合わせて高品質の沖縄アグー豚の安定生産につなげる。

 遺伝子を保存する沖縄アグー豚安定供給体制確立事業は、一括交付金を活用、事業期間は2020年度まで。17年度の予算は2千万円が計上されている。

 ジーンバンクは今帰仁村にある畜産研究センター内に設置され、精子の凍結保存が始まっている。今後は体外受精などの実証実験を経て、20年度までに受精卵や胚を西洋豚などの他品種に移植、沖縄アグー豚の出産技術を確立する。

 沖縄アグー豚の保存と同時に、アグーブランド豚の供給拡大への取り組みも加速させる。3月に県家畜改良センターの沖縄アグー豚から精子を採取し、希望する農家へ配布する。農家からの期待も高い一方、沖縄アグー豚の精子は振動に弱い、生存日数が短いなどの弱点がある。実証実験で課題を洗い出し、交配成功率の向上を目指す。

 県アグーブランド豚推進協議会は21年度までにアグーブランド豚の出荷頭数を4万5千頭とする目標を掲げているが、雄の種豚が少なく、近年は出荷量が伸び悩んでいた。県農林水産部畜産課の池村薫課長は「ジーンバンクを活用し、沖縄アグー豚を守りながら、アグーブランド豚の供給拡大を目指したい」と話した。

 【ことば】沖縄アグー豚 沖縄固有の在来種。2016年度の飼養頭数は1247頭。県アグーブランド豚推進協議会は沖縄アグー豚を飼育し、一定の条件を備えた農場を指定生産農場として認定している。雄の沖縄アグー豚と西洋豚を掛け合わせたのがアグーブランド豚で16年度の飼養頭数は3万6633頭。